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大麻取締法違反者を社会から葬ることと人類の進歩について

大麻取締法違反者を社会から葬ることと人類の進歩について

パンドラの箱

医療大麻を議論することは良いが、大麻を吸引して逮捕された者が医療大麻を語ってはいけない、という意見があります。
そのように言う理由としては、大麻を所持することは日本では違法なのだから、法を犯して手を汚した人が綺麗事を言うのは間違っているというわけです。

しかし、法律というのはもともと人間が作ったものですから、それが間違っていたり、現実に則していないということは有り得ることです。
法律と現実とが噛み合っていない場合に、国家が違法行為を黙認する事例があります。
例えば、日本の刑法では賭博が禁止されているにも関わらずパチンコ、パチスロ店は黙認されています。
さらに、国家が平然と法を犯しているという事例があります。
日本に自衛隊(旧称:警察予備隊)を作る議論が始まった時に、多くの憲法学者が憲法違反だと言っていました。それにも関わらず、日本国は憲法違反の自衛隊を作り、日本の国民も現在までそれを容認してきているのです。


大麻取締法の問題は、人類の長い歴史上、ハーブのひとつでしかなかった植物を麻薬であるが如く取り締まっている点にあります。

海外では研究が進み、大麻の成分が癌、てんかん、多発性硬化症、リウマチ、糖尿病、PTSD、鬱病、認知症など多岐にわたる難病の治療に効果があることが報告されています。
しかし、日本では大麻をまともに研究することすら認められていないため、日本の研究機関は大麻のカンナビノイドとよく似た合成物質(合成カンナビノイド)をマウスに投与して、大麻は有害であるという発表をしています。

このような日本の現状について、中部大学の武田邦彦教授は次のように言っています。

「科学者は言い方を十分に注意しなければならないと思います。同量のアルコールをマウスに打ったら死にます。
大麻をマウスに打ったら脳神経だけが破壊されたが、アルコールを打ったら死にました、と言わなければならない。
さらに、カンナビノイドとよく似た合成物質とあるが、化合物というのは1個違っただけで全然違います。」


さらに、武田邦彦氏は日本の大麻報道のあり方についてこのように苦言を呈しています。

「全く根拠なく言う人が非常に多いですね。マスコミが流すものと実際の科学の状態は大きく違います。
大麻に関しては、それが麻薬かどうかという非常に大きな科学的判定がイギリス、アメリカ、WHO調査と過去に4回ありましたが、いずれも、少なくとも酒、コーヒー、タバコと比べて習慣性も精神的な作用も有害であるという報告はありません。
アメリカで非常に公平的に行われたラガーディア委員会の報告では『大麻の長期的使用は肉体的・精神的・道徳的な退行につながらず、なんら有害的な効果は認められない』という結論になっているのです。
私は、日本人で大麻のことを発言されている人の中でこれらの報告書を読んだ人はいないのではないかと思います。」


大麻を吸引して逮捕された人たちの中には、健康上の問題で藁にもすがる思いで使用した人たちがたくさんおります。
例えば、山本正光さんは、自己の末期がん治療のために大麻を使用して劇的に症状が改善しましたが、大麻取締法違反で逮捕・起訴されました。彼は憲法で保障された生存権の行使を主張し訴訟を起こしましたが、公判の途中で亡くなりました。

悪法も法なりで、法を犯してはいけないという道徳的な原則はあります。
しかし、法を犯しても大麻を吸引し、大麻に有害性は無かったことを自分の体を実験台にして証明した人たちの体験や意見を社会から葬ることについては、人類の進歩という観点においてどうなのでしょうか?
その国家、その社会だけに通用している法律や道徳を守るという観念と、人類全体の科学の進歩や人間の健康や幸福という観念とを一緒にしてはいけないと思います。

大麻は有害ではなくむしろ健康のために役立つから法改正すべきだという意見もあるわけなので、マスコミが大麻を報道する場合にはそのような意見も平等に扱わなければいけません。
マスコミは大麻で捕まった人たちを十把一絡げにして批判するのではなく、山本正光さんのような癌患者や高樹沙耶さんのような大麻啓蒙活動家の人たちがどのような思いで大麻を使用していたのか、使用したことによって本人の体に健康被害はあったのか無かったのかなどについて追跡し、公平かつ客観的な事実の報道をする責任があるのではないかと思います。

(やしろたかひろ)


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大麻の二大薬理成分のうち、酩酊成分であるTHCは日本では購入することが出来ませんがCBDは合法的に購入することが出来ます。

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