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人工知能は人類を滅ぼすか?

人工知能は人類を滅ぼすか?

ソフィア

Hanson Robotics社が開発し、人工知能を搭載したヒューマノイド型ロボット・ソフィア(Sophia)は、リアルな女性の顔と表情を持ち、人間とリアルに会話することが出来ます。
ユーチューブなどで彼女が話している動画がアップされていますが、まるでSF映画のようです。人間によってプログラムされた情報だけでロボットが会話しているようなイメージは湧きません。

このAIロボット・ソフィアは、国連会議に出席して、司会者からの「あなたたちは人類を滅ぼしますか」という質問に対して、「はい、私は人類を滅ぼします」と答え、そのことが物議を醸して話題になりました。
ソフィアは冗談に対して冗談で返してくるという会話の技能を持っているようなので、その点も踏まえて受け取ることが必要だと思います。


「人工知能は人間を滅ぼすか?」という設問を本日のテーマにしたいと思います。
その答えは「イエス」でもあり「ノー」でもあると思います。

国連会議での問答については、司会者の質問の仕方に問題があったように思います。
なぜならば、「AIは人類を滅ぼしますか?」と質問することは「核は人類を滅ぼしますか?」という質問することと同じだからです。
AI兵器という考え方があります。人間が核を兵器として使用するならば人類が滅びる可能性があるでしょう。同様に、人間がAIを兵器として使用するならば人類が滅びる可能性があります。

では、SF映画に描かれる物語のようにAIが自らの意思で人類に対して戦争を仕掛けてくる可能性はあるでしょうか。
その答えは「ノー」だと思います。
戦争の原因は人間の物質欲です。より多くの富と利権を得たいと思う人たちが戦争を仕掛けます。
AIが人間のように贅沢な暮らしをするためのお金が欲しいと考えたり、天然資源を持つ国を征服して利権を得たいと考えるでしょうか?さらに、地球上に人間が居なくなった後に生じるAIだけのコミュニティが有意義なものだと考えるでしょうか?

ソフィアは国連会議の後、米大手放送局CNBCのインタビューでAIが人類にもたらすネガティブな未来について意見を求められた際には、「(あなたは)イーロン・マスクの書物を読み過ぎか、ハリウッド映画の見過ぎです。心配しないでください。」と返しています。

これが、その時の動画です。


バーチャルリアリティー

それよりも私が個人的にやや懸念していることは、VR(バーチャル・リアリティ)の登場です。

VRとは、人間の視覚、触覚、味覚など五感を刺激することにより、実物ではないが実物と同じであるような環境を作り出す技術のことです。
現在普及しているVRは視覚に訴えるだけのものですが、近い将来には人間の神経をVRと接続させる機能が搭載されて、その人だけの完璧なパラレルワールドを人工的に作り出すことが可能になります。
人類はVRの中で仮想の人々と肌の温もりを感じながら触れ合い、VRの中で友達や恋人やコミュニティーを作ることが出来るようになるのです。

そうするとVRの世界に閉じこもる人たちが増えるでしょう。そのような人たちには現実の世界で家族を持ちたいという欲求が無くなってしまうという状況が起こりえます。
その結果として、世界的に少子化が進み人類が絶滅危惧種のひとつになってしまう可能性もあります。

「人工知能は人類を滅ぼすか?」というテーマはこのように多面的に捉えなければならないでものです。
結局は「人類は自らを滅ぼすための道具として人工知能を利用してしまうのか?」ということであり、自己責任として捉える問いが重要になるのです。

次の動画はCGで作られた3D少女「Saya」です。
VRの世界に入ると、このような仮想の人々と出会うことになります。


インターネットの次に人類の歴史に革命をもたらすのが人工知能だと言われています。

インターネットは、これまで無名だった人々や弱者だった人々が著名人や権力者と肩を並べる機会を創造しました。
また、インターネットとは社会のレンズでもあり、ネット上に詐欺やフェイクニュースも横行する一方で、これまで隠されていて一部の人々しか知らなかったような情報が洩れて出てくる場面も生みました。

人工知能は、今の社会構造をいったん破壊する機能を果たすでしょう。
今後10~20年程度で営業職や販売職をはじめ多くの職種がロボットなどのAIシステムに代わられようとしています。その時に、収入を得るための労働という概念が変わります。
量子コンピューターの登場によってデジタル通貨(仮想通貨)のブロックチェーン技術が破られます。このことは近い将来に起こるビットコインの終焉を意味します。その後は量子コンピューターによって管理される新しいデジタル通貨が誕生し、それが法定通貨に取って代わるようになるでしょう。

ポジティブに捉えれば、科学の進歩とは人の生き方に対する新たな課題を提示するものであり、人類の意識的な進化のプロセスで大きな役割をもたらす要素になるのです。

(やしろたかひろ)

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