【信仰の原点回帰】 宗教の統合は平和をもたらすのか
【信仰の原点回帰】 宗教の統合は平和をもたらすのか
「日本書紀」によると、仏教は飛鳥時代の552年に朝鮮半島の百済から日本へもたらされたとされています。
しかし、おそらくこれは仏教公伝の時期であって、日本に渡来人が入ってきたのはこの年号よりもだいぶ前なので、実際に仏教が伝来した時期はもっと早かったのではないかという主張があります。
いずれにしても、神仏習合の流れが始まったのが飛鳥時代からということができるでしょう。
聖徳太子は、仏教を基本として、国内外の様々な宗教や思想を束ねる政策を実施しました。
また、役小角(えんのおづぬ)は、日本に古くからあった山岳信仰に仏教思想を結び付けて修験道を確立させました。
仏教が日本人に受け入れられた理由は、仏教が多神教であったということが、縄文時代から続くアニミズム(自然信仰)と共通していたということがあるでしょう。
しかし、その一方で、縄文のアニミズムはローカル色が強く、特定の地域やコミュニティに強く根差していたこと、さらに、自然界にある全てのものは人間が神から拝借しているものだとする考え方がアニミズムの土台にあったことが、土地や人民が国家の所有物であるとする政治権力から見れば都合の悪いものでした。
そのために、神道よりも仏教のほうが格上であるとする「本地垂迹説」が、神仏習合において重要な概念になったと考えられます。
本日紹介させていただいた動画の中で、羽賀ヒカル氏は、自身が反本地垂迹説派であると明言しています。
その理由として、宇宙の始まりは形の無い抽象的なもので、物事の成り立ちは抽象から具体へ発展するものだという物理法則があり、神道のほうが抽象的であるからだと説明されています。
羽賀氏の意見は、以前に私がこのブログの中で紹介させていただいた「生成化育」(せいせいかいく)という概念とも繋がってきます。
生成化育とは、宇宙はもともと何もない「無」の状態から始まっており、そこから現象が生まれ、それらが繋がり合うことによって無限に成長していくプロセスをだどっていくとする古神道の考え方です。
聖徳太子が広めたのは、単なる仏教ではなくアジア各地の宗教を統合した「全アジア混合宗教」であり、それを受け入れた日本人は柔軟性があり、懐が深いといったような評価をされることがあります。
しかし、残念ながら、全アジア混合宗教たる仏教の伝来が、日本の平和に寄与することはありませんでした。
現在起きているイスラエルとパレスチナの戦争は、イスラム教とユダヤ教とキリスト教の聖地を巡る争いだといわれていますが、このように対立している宗教がもし統合されたら、世界から戦争は無くなるのでしょうか?
答えはNOです。
戦争を起こすことを容認している宗教どうしが統合されたところで、何の意味も生じません。
土地も、人民も、自然資源も、神から授けられたものであり誰の所有物でもないというアニミズムが浸透しないかぎり、人間の独占欲や支配欲から起こる戦争は無くなりません。
世界最古の宗教といわれているゾロアスター教は、善悪二元論に基づいた教義を持ち、後の一神教に影響を与えたと考えられています。
キリスト教は、キリストの思想を正しく伝えておらず、白人が有色人種を支配する正統性として利用されてきました。
仏教には、釈迦の正しい教えが次第に衰えていくという末法思想がありますが、仏教が日本で僧兵を産み出した時点で末法思想が現実になっていた可能性があります。
このような、ネガティブなものどうしを統合したところで、ポジティブにはならないのです。
日本の歴史において、寺院と寺院が戦争をしたことはありますが、神社と神社が戦争をしたことはありません。
また、縄文時代には戦争が無かったといわれています。
現在の神道は仏教と習合された影響もあり、縄文のアニミズムとは形がだいぶ違っていると思われますが、神道の源流がアニミズムにあったことは間違いありません。
人々にアニミズムが浸透したとしても、現実問題として、食糧や物資が不足した場合には、生き残り競争としての対立が起きる可能性はあります。
しかし、現代文明は、世界の人口を賄えるだけの食糧や生活物資を生産することが出来る能力を持っています。
ただし、現状は、その分かち合いが正しく行われず、供給に偏りが生じているために争いが起きています。
重要なことは、宗教の統合ではなく、原点回帰です。
世界平和への道は、世界の宗教が、信仰の原点であるアニミズムへ回帰すること。
これ以外にありません。
地球から離れた所に存在すると考えられている天孫を信仰することを否定はしませんが、まずは自己と地球との繋がりを意識し、大地に感謝することが出来るようになることです。
地球との繋がりを意識することが出来れば、人と人との繋がりを大切にすることが出来ます。
縄文意識と現代科学を融合させるだけで、世界から戦争が無くなり、真のミロクの世となるのです。
(やしろたかひろ)
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