弥栄-いやさかの会

お金の話⑴「国の借金」がどんどん増えていくおかしな仕組み

政治家が税金の話をするときに「国の借金」という言葉がよく出てきます。
国の借金を減らすためには、税収を増やす必要があります。

政治家が政策議論をする場合に出てくる「消費税を下げる」「103万の壁を引き上げる」といった意見は、国の税収を減らしても良いという主張ではなく、どこからいくら取るかという納税者の負担割合を見直すことを意図しています。

今回は、このことについて考えてみたいと思います。

国の借金とは、政府の借金のことです。言い換えれば国民の借金です。
一般的に国家が借金をする主な相手は中央銀行や外国ですが、日本の場合は海外債務は黒字なので、国の借金とは主に日銀（日本銀行）に対する債務のことをいいます。

私たちが日常の買い物で使用している通貨は、政府が日銀から借りたものを使用しています。
借金なので、政府(=国民)は日銀に対して利息を払う義務があります。
自分が労働をして稼いだお金なのに、なぜそれが借金なの？と思われる方が多いかもしれませんが、通貨を国が発行していないので仕方がありません。

日本を含む多くの先進国の政府は、通貨発行権を持っていません。
中央銀行が通貨を発行する特権をもち、その通貨が政府や民間銀行に貸し出されています。
中央銀行とは、日本ならば日銀、アメリカならFRBです。これらは一般の株式会社とは違いますが、株式が発行されて運営されており政府とは独立した企業です。

政府が通貨発行権を持っていないことの問題点について、複雑な話をできるだけシンプル化して以下に説明してみます。

ある国の政府が、まず最初に中央銀行から100億円分の通貨を年1％の利率で借りて国家としての経済システムを作ったと仮定しましょう。
仮に1年後にそれを全額返済しようと思ったら、利息と合わせて101億円を用意する必要があります。
しかし、政府は100億円しか借りていないので、国内に出回っているお金をすべてかき集めたとしても100億円しかありません。利息分の1億円が足りません。
したがって、1億円分の通貨を追加で中央銀行に発行してもらい利払いに充てる必要があります。それは新たな国の借金となるので、その1億円にも利息が発生します。

現実問題として、国内に流通させるお金の量をゼロにしてしまうことはできないので、政府はお金を借りっぱなしにしておいて毎年利息を払い続けなければなりません。
ゼロにしないまでも、国の借金を減らしていくことは国民が保有しているお金の総量を減らしていくことなので、そのために無理やり増税をすれば不景気になり、倒産企業や失業者が増加します。

不景気になれば、市場にお金が流れなくなります。税金とはお金が流通することによって徴収することができるものなので、結果として国家の税収が先細りすることになります。
したがって経済を安定させるために最善の方法は、景気が悪くならないようにお金の総量を少しずつ増やしていき、ゆるやかなインフレに誘導することなのです。
明治時代の1円と今の1円の価値が全然違うのは、政府がインフレ誘導を継続してきたからです。

このように、国の借金が無限増殖していくことで経済が成り立つように設計されているのが今の社会です。
国の借金を減らさなければならないと主張している政治家たちが、全員この仕組みを理解しているのかどうか疑問です。

紙幣の原料は紙ですから、印刷機があれば中央銀行は非常に安いコストでいくらでも紙幣を刷ることができます。
将来的に中央銀行が紙幣ではなくデジタル通貨を発行するようになれば、通貨の発行コストはさらに安くなります。

ただし、お金を刷っただけでそれに価値が付くわけではありません。
刷ったお金を政府や民間銀行が借りた時に初めて、1万円札に1万円分の価値が付くというルールになっています。

中央銀行が無限にお金を刷り続けて貸し出し、その利息が入ってくるたびに労せずして利益を上げ続けるシステムがあることをこれでお分かりいただけたでしょうか。
中央銀行の主要株主はユダヤ系の人々といわれており、そのような人々のことを国際金融資本という場合があります。

震災など大きな自然災害が起きると政府が財政出動を行なって復興をしますが、その時に政府は臨時で国債を追加発行し、中央銀行から大きな借金を重ねていきます。

政府が中央銀行からの借金を減らしていくことは、事実上不可能です。
なのですが、国際金融資本側も貸付と利息の無限増殖によって成り立っている今のシステムが持続可能ではないことに気づき始めています。
したがって、そろそろ金融システムの大改革を行なうということがあっても良いタイミングにきているのではないかと思います。

もし日本政府が通貨発行権を100％持つようになれば、日本国の借金はゼロになります。
そうすれば借金の返済が無くなるので、国民の税金を大幅に減らすことも可能です。

次回は、このようなお金の問題を解決するために、私たち民間人がどうしたら良いかについて考えてみたいと思います。

(やしろたかひろ)　

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